床を毎日意識することは少ないですが、歩いたり、座ったり、寝転んだりと常に利用しています。そのため中古物件は床が傷んでいたり、汚れていることも多いです。
床をリノベーションすることで、防音や耐久性などの性能アップができますし、部屋の印象を大きく変えることもできます。ポイントを理解すれば、自分で床の張り替えにチャレンジすることもできますよ!

今回の「床その1」では主に床の仕上げの種類の説明になります。次回の「床その2」で床の構造や工法、リノベーションのポイントなど説明していきます。

■床の仕上げについて(フローリング)

フローリングの仕上げは、無垢材や複合材といった床材の「種類」と、乱尺貼りや斜め張りなどの床材の「貼り方」の組み合わせです。部屋の用途を考えながら、好みに合わせて選びましょう。代表的なものをいくつか紹介していきます。

■フローリング材の種類

フローリング材は大きく無垢材と複合材に分かれます。
無垢材は広葉樹や針葉樹の自然素材のことです。自然素材ならではの肌触りやぬくもりが感じられ、調湿効果もあります。キズができた場合も補修がしやすく、経年による汚れなども味わい深くなるところが魅力です。デメリットは自然素材のため、湿気による収縮や反りによって隙間ができたりします。無垢材で床張りを行う際には季節や天候を考慮する必要があります。コストも複合材に比べると高価です。

複合材は合板や集成材の上に天然木や特殊シートを貼ったものです。基本的に調湿作用はありませんが、ダニ対策や耐衝撃性、防音などの機能や色・柄の種類がたくさんあります。コストを抑えることができるので多くの住宅で使用されていますが、ナチュラルな質感や雰囲気などが出にくいため、安っぽい印象になってしまうことも多いです。

せっかくリノベーションをするのですから、仕上がりの雰囲気が良く、愛着もわきやすい無垢材のフローリングにチャレンジしてみることをオススメします。無垢材の仕上げも、材料選びから塗装の方法までいろいろありますので、代表的なものを紹介していきます。

■無垢材の種類

針葉樹の無垢材:スギ材のフローリング例

無垢材の針葉樹は軽くて柔らかく、広葉樹は重くて硬いと言われています。一般的な針葉樹の床材はスギやヒノキ、広葉樹はウォールナットやオークなどがあります。使用する場所を考慮しつつ、素足で歩いた際の心地よさや、耐久性などに合わせて選んでいきます。その他にもたくさんの種類がありますので、専門家に相談するとよいでしょう。

広葉樹の無垢材:オーク材のフローリング例

■床の貼り方あれこれ

無垢材のフローリングにする醍醐味の一つに貼り方もあります。床材の貼り方で部屋の印象も変わります。一般的なバリエーションとして、乱尺張り、りゃんこ張り、斜め張り、ヘリンボーン張りを紹介します。

・乱尺張り
フローリング材の長さが一定ではないものを、つなぎ合わせていきます。(本実(ほんざね)加工 と言います。)一枚一枚が独立した形になり、独特な表情が出せます。一般的に無垢材フローリングで多く使われている張り方です。

・りゃんこ張り
こちらも割と多く見かける張り方です。同じ寸法の材を一定にずらして張っていきます。ずらし張りやレンガ張りと呼ぶこともあります。整然とした雰囲気の仕上がりになります。

・斜め張り
壁に対してフローリングを斜めに張っていきます。床の独立性が強調された、動きのある雰囲気が出ます。

・ヘリンボーン張り
無垢木材の小片をヘリンボーン(や市松)の模様に張り上げていきます。手間やコストがかかりますが、洋風のクラシックな雰囲気を感じさせる仕上がりになります。

■塗装について

塗装は材の保護になるうえ、好みの仕上がりを選べます。

塗装は木材の「保護」という重要な役割を果たしています。
無塗装のままの場合だと、飲み物をこぼしたシミや、日々の生活で生じる汚れもつきやすくなります。張り替えも気軽には出来ないので、しっかりと保護したほうが良いでしょう。また同時に、無垢そのままではなく、塗装をすることで「自分好みの雰囲気」や「より美しく」することも可能です。経年によって得られる雰囲気や味を楽しむためにもしっかり塗装しておきましょう。

塗装の種類は、大きく分けて2つのタイプがあります。下記以外にも目的や効果によって様々な商品がありますので、詳しく知りたい場合は専門家に相談しましょう。

○浸透性塗装
オイル塗装や蜜蝋ワックス仕上げのように塗料が木材の内部に浸透して保護するタイプ

浸透性塗装の例:マットな仕上がりに。

○コーティング系塗装
ウレタン塗装に代表される木の表面に塗膜をつくることで木を保護するタイプ

コーティング系塗装の例:ツヤがでています。

木の質感やキズ、汚れを味わいとして楽しむ場合は「浸透性塗装」、ツヤがあり、ツルツルした質感が好みの方は「コーティング系塗装」を選ぶとよいでしょう。

■メンテナンスのこと

無垢材のフローリングは定期的なメンテナンスが必要です。大変そうなイメージがありますが、ポイントを押さえれば簡単です。

浸透性塗装のフローリングの場合、日々の掃除では掃除機と乾拭きで十分です。半年〜1年に1回程度オイルや蜜蝋ワックスを塗ります。シミや汚れがついた場合はサンドペーパーで汚れを削り落とし、その部分にオイルや蜜蝋ワックスを馴染ませるだけで、簡単に補修することができます。

コーティング系塗装の場合、基本的には日々の掃除で問題ありません。水拭きをする場合は固くしぼった雑巾を使用しましょう。(天然素材のため過度な水分は反りや割れの原因となります。)あとは年に一度を目安にワックスをかけましょう。

■その他の仕上げあれこれ

フローリング以外の床の仕上げの紹介です。部屋の目的や用途に合わせて選びましょう。

[クッションフロア]
クッションフロアは耐水性や防水性が優れており、キッチンや浴室など汚れやすい場所に向いています。価格も安く、中古物件では多く使用されています。

クッションフロア例:水回りに使用することが多いです。

[タイル・カーペット・畳]
タイルは丈夫で、種類も多いのが特徴です。硬く冷たいので音が気になる場所には向いていません。
カーペットは柔らかく、遮音性が高いのが特徴です。裸足でもリラックスできます。汚れた際の掃除が少し大変なのがデメリットです。

左からタイル、カーペット、畳

畳は日本伝統の床材です。調湿機能もあります。近年では機能性・デザイン性の高い畳も増えてきています。

いかがでしょうか。フローリング以外にも床の仕上げにはたくさんの選択肢があります。目的や効果、予算に合わせてしっかりと選びましょう。

次回の「床 その2」に続きます。お楽しみに!

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イラスト / Yosuke Yamauchi
画像 / みんなでつくろう編集部
図説 / みんなでつくろう編集部