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森本アリ

自己紹介をお願いします。

旧グッゲンハイム邸という神戸・塩屋の海沿いの洋館の管理・運営をしています。

また音楽家として「三田村管打団?」や諸々実験的なユニットで活動しています。さらに「シオヤプロジェクト」「塩屋百景」「塩屋音楽会」等で塩屋の町への文化的ちょっかいを出したりもしています。

どんな活動をしているの?

築100年の文化遺産的建造物を、様々な音楽企画や文化的催し等で広く使用して頂く為のお手伝いをしつつ、自分でも音楽会やイベントを企画運営しています。

音楽活動は、通常の公演の枠を超えた、あらゆる場所や状況に挑戦させられています。大規模なフェス等にもたまに招聘されます。

塩屋の町に、100年後200年後まで今の良さを受け継いでもらうべく、写真集を発行したり、ワークショップやアートイベント、まちあるき等を通じて、この人間サイズの町を再認識してもらうことを常に考えてます。基本的には現象を起こすことが好きなようです。

どんな建物を改装したの?しているの?

築60年程度のかなり傷んだ木造2階建てアパートを、安価で購入しました。

元々建築好き、不動産見学好きなので、外出先でふと目にした不動産販売店の冊子の情報に釣られ、ワクワクし、購入のことなど微塵も考えず、住所が近所だったので不動産屋さんをタクシー代わりに使えるというヨコシマな気持ちもあり、見学を申込みました。

車の入らない、良い意味で塩屋らしい集落の建て込んだ路地の奥に、その木造2階建てアパートはありました。本当にボロボロでしたが(笑)、傾斜地にある為、手前の家より高い場所に建っており、乾いた感じがあり、この外観に普通の人はビビるだろうけど、僕はむしろ愛おしく思いました。

物件概要 木造2階建てアパート   40平米
かかった日数 9ヶ月間
改装費など 購入費:400万円(1棟) / 外装費 屋根補修:20万円 / 足場+外壁補修+全面塗装:120万円 / 内装 窓+窓周辺+補強:50万円 / 階段:15万円 / 床+天井+断 熱+ロフト+テーブル+カウンターなど:約50万円

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海を望むボロ長屋

AREA垂水区塩屋町

築60年程度のかなり傷んだ木造2階建てアパートをかなり安価で購入しました。車の入らない、いい意味で塩屋っぽい集落の道から更に20m程の間口1mの建て込んだ路地の奥に入ったところに木造2階建てアパートはありました。

誰とどのようにして改装したの?

基本的には独り作業。

ほぼ定時仕事をしていたのと、仕事場から家に帰る途中に位置していたので、毎日コツコツ1~2時間解体したり、週末に大きく進めたり。大きな作業や造作が必要な時は友人の助けを借りました。

まず雨漏りが一番怖いので、業者にお願いして、屋根の補修に約20万円。そして外壁補修、塗装、足場などに約100万円かかりました。内装は、一点豪華主義の巨大なサッシュ窓と、その底辺のベンチ部分を、島田くんの簡単な設計&工務店仕事で約50万円。

Exif_JPEG_PICTURE他はほぼ自力でやっていますが、床が4mで5cm傾いていて、それを補正して下張りまでするのは、当時タトアーキテクツの所員であった白須寛規くん(現在はdesign SUとして独立)が、谷町の長屋をシェア&セルフビルドしながら住んでいて彼の得意分野だったので、1週間白州くんに手伝ってもらいました。レベル調整、特別な技術や材料は使わず、出た廃材で高さの合うものを嵌め込んで行ったりと、難しいことはしていません。

他に、床下・天井・壁・床・水道・電気・セメントやモルタルまでも含めたいろいろなことについて、困った時は、防水屋を主な生業としつつ一軒家の施工等もしている須磨在住の建築家、岡智治くんに相談し、多大にお世話になりました。

なぜこの場所・この建物だったの?

塩屋には多くのこういった土地が存在するのだけど、「再建築不可」です。

取り壊したら新しいものをその場所には建てられません、リフォームの定義は広いのである程度の構造を残せば「ほとんど」新しいものにもリフォーム出来るみたいですが、僕は大きな変更を加えずにある程度継承し解釈しながらリフォームすることが面白いと思っています。

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また、そういった「再建築不可」の物件を敬遠する人が日本人には多く、そして工務店のリフォームの見積もりが施主が好む好まざるか変わらず新築的全面リフォームな対応が多い(=家屋の価格より遥かに高額になる)のが空き家の有効活用の大きな足かせになってると思います。人が少し前まで住んでた家はそのままでも住めるのだから、直しながら住むのは5万円で自分で屋根を直す所から始まるリフォームでいい筈だと思っています。

お気に入りの部分はどこ?

IMG_83521. 漁に出る漁船が見える景色を最大限に活かした大きな窓。

2. 敷居の廃材などをパズル上に嵌め込んでそれが違和感なく馴染んでいる壁。

3. 竹中大工道具館に招待されたドイツからの古い西洋の伝統的大工道具マイスターな大工さんから相談を受け(自分では作れないと諦めていところ)渡りに船で10万円で作ってもらったネジも釘も使用されていない階段!

IMG_8348それと、1点豪華主義で窓を可能な限り大きくする! という野望があったので、4mの正面壁に3.6mのサッシュを入れました。この部分関しては、内部に柱を残し、他の部分に構造の補強にブレス(筋交い)を加えたりという構造計算もしてもらっています。

僕は車を持たず運転もしません。また、建物の立地は接道が無く、近い車道まで約100mのきつい坂(笑)。岡くんの軽トラで材料買い出しということもありましたが、大抵はホームセンターで購入し、木材もカットしてもらい、750円の配送料で送ってもらっています。「アリちゃんのプレカット工房やなー」と笑われることもあります。車がないのもむしろ便利だと思える程、僕はホームセンターを駆使してますし、素晴らしいサービスが多くあると思います。

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部屋の床は1枚千円弱のラワンベニヤに、ホームセンターでも買える日本古来の自然塗料「荏油(えあぶら|えごまゆ)」を塗っています。渇きが遅い以外はいろいろな意味で素晴らしいです。輸入ものの自然塗料も素晴らしいですが、荏油も是非多くの人に使って欲しいです。

どんな住人が住んでいるの?

グ邸差し込み僕がこの木造アパートを購入した少し後に、管楽器奏者の友人がお隣の一軒家を購入し、家族で引越してきました。管楽器の練習の音が響いて来る感じは心地よく、苦情の対象にもなるのかもしれませんが、こういう生活音が響き合う近所付き合いは推奨したい。
塩屋自体、家賃も不動産価格も他の地域に比べると随分安いのと、自然環境と居住環境のバランスがいいので、クリエイターに好まれることが多く、塩屋に音楽家、美術家、そしてアート系のNPO等に務める人が多く住んでいます。

このアパートもその例に埋もれず、イラストレイター、画家、音楽家、アート系NPOスタッフ、そして外国人語学教師が、過去も現在も住んでいます。皆、少しずつ何らかの改装や補修をしてくれたりと、この家での生活を楽しんでいます。

今後の展開は?

旧グッゲンハイム邸の周辺の修繕や新しい造作も常にやっていて、そういうことが一番好きなのに事務作業が多過ぎてそれらの大工仕事の時間が取れないのが大きな悩みです。ひとつひとつコツコツ作り上げたいですね。

◆参照サイト

旧グッゲンハイム邸(http://www.nedogu.com/

シオプロ(http://www.shiopro.net/

森本アリ(http://kumacoops.exblog.jp/

映画「ハッピーアワー」スペシャル対談企画(http://kansai.pia.co.jp/interview/cinema/2016-01/HappyHour.html

※記事内の文章は原文を尊重しています。

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